プロジェクトの内容
 
 
第 2 年( 2007 年)

パラナ湾沿岸域におけるモニタリングシステムの構築と漁場の持続的な利用に関するプロジェクト(第2年次)専門家派遣を、 6 月 30 日から 7 月 15 日の日程で、ブラジル連邦共和国パラナ州クリチバ市、パラナグア湾で実施した。

日本から専門家として、伊藤成治 ( 財 ) ひょうご環境創造協会環境技術部水質課係長、林建佑同協会環境技術部共生課技師、神谷充伸福井県立大学生物資源学部海洋生物資源学科准教授、増田恵一兵庫県水産技術センター増殖部主任研究員が参加した。

ブラジルからは当プロジェクトのカウンターパートであるパラナ連邦大学 (UFPR) のほか、ブラジル連邦共和国環境保護院 (IBAMA) 、パラナ州環境局 (SEMA) 、パラナ州環境研究所 (IAP) 、パラナカソリック大学 (PUC) から多数の関係者が出席、参加した。



今回のプロジェクトにかかる専門家派遣のプログラムは次のとおりに進められた。

初日、昨年度に設定された水質、漁場環境、生物の各モニタリングチームのブラジル側代

表よる夏季調査に関する報告のあと、今回のスケジュールの確認を行った。また、日本側

より今年度のプロジェクトの進め方及び今回の専門家派遣の成果としてとりまとめる予定

であるモニタリングマニュアル素案について説明し、ブラジル側の了承を得た。その後、

チーム毎に分かれて手法等の協議を行った。

 

以後、各モニタリングチームに分かれて調査機材の相互確認、詳細スケジュール等の調整を行い、それに基づいてパラナグア湾のフィールド調査、分析、同定、会議等を連日行った。

 

最終日前日には専門家派遣による現地での活動をチーム毎で取りまとめるための会議が行われ、同日午後には JICA ブラジル事務所の坂口氏も同席され、冬季調査の概要報告が各チームの日本側代表によって行われた。

 

最終日、坂口氏同席のもと各チームのブラジル側代表による今年度の専門家派遣による現地での活動の総括と最終報告が行われた後、本プロジェクト終了後( 2009 年以降)のモニタリングについて意見交換が行われ(別添資料参照)、日本側からも今後の進め方について提案を行った。



主な成果と概要

各チームのモニタリング手法の確立

今回、日本・ブラジル協働で水質、漁場環境、生物の各チームに分かれて調査、分析等を行った結果に基づき、詳細な調査地点、分析方法等を含めたモニタリング手法を確立するための基礎的情報が収集・整理できた。

 

モニタリングマニュアル案の作成

上記1の内容を踏まえ、今年度来日する研修生2人と日本側メンバーがディスカッションを行ったうえでモニタリングマニュアル案を作成する。なお、そのマニュアルは、誰もが容易にモニタリングを継続して行うために利用可能なものとしていくことを目的としているが、今回、ビデオ、写真などを多数撮影したことから、これらを利用、反映させ、マニュアルの内容、活用方法の多面的な充実を可能とすることができた。それを基にブラジル側で夏季調査を行い、来年度、このマニュアル案についての検証を行う。

 

ブラジル側におけるモニタリング合同委員会(仮称)の継続

昨年度設置したモニタリング合同委員会を引き続き継続し、調査時における各チーム間の調整及び調査結果の評価を行うこととなった。

 

本プロジェクトにかかるHPの更新

昨年度に作成した本プロジェクトにかかるHPの充実を図るため、今年度の調査結果及びプレゼンテーションの内容を掲載することとし、より広範な情報発信をしていくこととした。

 

 

来年度のプロジェクトに向けて

(1) 来年度研修生受け入れについて

ブラジル側カウンターパートである パラナ連邦大学 (UFPR) のマローネ教授により、研修生は本プロジェクトに関わる組織のすべてから選出するのがベターとの考えから、残るふたつの組織であるパラナ連邦大学 (UFPR) とパラナカソリック大学 (PUC) から1名ずつの派遣を来年夏から秋に予定しているとの申し出があった。

(2) 来年度の専門家派遣日程について

本プロジェクト最終年にあたる来年度は、 3 年間にわたる本プロジェクトの総まとめの年であり、4年目以降の長期的モニタリングシステムの構築を念頭においたブラジル側との協働した調査及び協議と位置づけられることから、来年度の専門家派遣は、来年度の研修生の受け入れ後である秋以降が望ましいとの基本的な合意が図られた。


評価

今年度の専門家派遣では、3つのモニタリングチームに分かれて日本・ブラジル両国が協働で作業を行い、更なる詳細調査、分析を重ねたことにより長期的モニタリングシステム構築のための基礎資料を得たことは大きな成果といえることができる。また、4年目以降のモニタリングについて日本側からの提案や、 JICA ブラジル事務所の坂口氏とプロジェクトメンバーが直接意見交換できたことも、今後ブラジル側主導で行うべき継続的、自主的、自立的な長期的モニタリングの方向性を探るうえで重要であった。

  このように、両国メンバーの共通の認識のもと、プロジェクトの最終年度とされる来年度向けて、昨年度に構築されたパラナグア湾の長期的モニタリングを目指す本プロジェクトの枠組み、モニタリングを進めるための人的体制、プロセスの構築をさらに強固なものとしたことは高く評価できるものと考えられる。



その他、研修生の受け入れ

パラナ州環境水資源局の技術スタッフであるエヴァンドロ・ピンネイロス氏とブラジル連邦共和国環境保護院の技術スタッフであるルイス・ファラコ氏の日本における 45 日間の研修が予定されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テーマ
 
 

水質モニタリング

生物資源モニタリング

自然環境モニタリング

マングローブ